相続税の納税方法と延納の概要
Q 相続が発生しましたが、手元資金が乏しく、納税資金を捻出するために相続した財産を売却しなければならない状況です。しかし、相続財産は故人の思い出がつまっており、できるかぎり手元に残したいと考えています。このような場合に、相続税の納税をどのように行えばよろしいでしょうか。私自身は多くの上場株式を保有しています。
A 相続税の納税方法には大きく3つの方法があります。1つは通常の金銭納付であり、2つ目は相続財産をもって物納する方法、3つ目は財産を担保に分割して納税する方法(延納)です。
ご質問のケースの場合、金銭納付を行うためには相続財産を売却しなければならないようですし、物納の場合には相続により取得した財産を金銭の代わりに納付するため、相続財産を手元に残すことができません。したがって、3つ目の延納を選択することがご希望にかなう方法であると考えます。
延納の場合、担保として財産を提供する必要がありますが、納付が完済すれば提供した担保財産は戻ってきます。また、物納が相続財産でなければならないのに対して、延納により担保提供する財産は、相続財産のみならず、相続人の固有財産、あるいは第三者の所有する財産であっても差し支えありません。ご質問のケースでは、ご質問者の保有する上場株式を担保提供することも可能です。
ただし、延納は納付を延長することになるため、それに対する利子税が発生し、結果として負担する税額が多くなる点には注意が必要です。
延納申請税額には特に上限はありませんが、あまりに多額の延納の場合は認められにくいようです。
また、相続人同士で揉めてしまって遺産分割が進んでいないようなケースや名義変更ができる状況となっても、相続人同士で争いのある財産については担保として不適切とされる可能性もあります。
延納による方法は、利子税(利息)を支払って納税することになるため、条件によっては、金融機関等から借入を行い一括で納税する方が有利なケースもあります。また、相続財産が上場株式など流動性のある財産であれば、高値で売却して金銭納付した方が結果として有利になる可能性もあります。
なお、延納の概要についてまとめましたのでご参考下さい。
| 延納の要件 | ○ 相続税額が10万円超
○ 金銭納付困難事由があり、かつ、その納付困難とする金額を限度 ○ 延納税額及び利子税の額に相当する担保の提供。ただし、延納税額50万円未満で、かつ、延納期間が3年以下であれば担保を提供しなくても延納許可可能 ○ 相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出 |
| 担保財産の種類 | ・国債及び地方債
・社債、その他の有価証券 ・土地 ・建物、立木、登記された船舶など(保険に附したもの) ・財団(鉄道財団、工場財団) ・保証人の保証 |
| 必要書類 | ・延納申請書
・担保提供関係書類 |
| 延納期間及び利子税 | ○ 5年、利子税の割合年6%
ただし、一定の場合は最長で20年、利子税の割合年3.6% |
